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Catherine Yass(キャサリン・ヤス)の作品がJerwood Gallery(ジャーウッド・ギャラリー)で展示されている。企業のトップや美術館のキュレータらを撮った写真を通じ組織の構造に焦点を当ててきたYassだが、今回は似たようなテーマ作品の他に、東京のカプセルホテルなどを撮った新シリーズとビデオ作品が加わり作品に幅が出ている。 Yassの写真はとても幻想的だ。まるでフラッシュバックの中のワンシーンのように、人は異様な光につつまれ建物はギラついている。精神病院で患者や従業員を写した「Portrait」シリーズ (1995/2001)では、ブルーやグリーンの怪しげな光がたちこめる病院の中で、人物が妙にリアルなタッチで捕えられている。ある老女は白昼夢を見ているかのようにやさしく微笑み、ある男性は熱い眼差しで一点をじっと見つめている。病院のキッチンはまるでバーのそれのようにオレンジ色に染まり、壁はオパールでできたタイルといったように輝いている。精神病院というよりは狂った病院といった感じだ。 |
Jerwood
Galleryでの「Catherine Yass」展の展示風景、Gallery I
左から Portrait:Daffodil I, 1995/2001 Portrait:Daffodil II, 1995/2001 Portrait:Garden, 1995/2001 Photo: © Kuma, 2001 |
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東京のカプセルホテルを撮った「Capsule」シリーズ(1999)では、異様な空気はさらに強まっている。「寝る場所」にひたすら徹するカプセルホテルのデザインはそのままでも十分SFっぽいが、その色をオレンジを中心とする蛍光色であらわすことによってより現実離れした空間に仕上がっている。また、今回発表されなかった「Invisible City」シリーズ(1998)でも、色の操作により新宿のネオン街がブレードランナーを思わす世界へと脚色されている。 Yassの写真に溢れるこの異次元的な雰囲気は、どうもその制作法とプレゼンテーション法に関係しているようだ。写真はすべて同一のシーンを写した2枚のフィルムから作られている。1枚はそのままポジとして、もう一枚はネガとしてプロセスされている。「Portrait」シリーズにみられる青い蛍光灯の光はこのネガ化されたフィルムによるものらしい。作品はこの2枚のフィルムを合わせ一枚のスライドにし、ライトボックスに載せることによって完成する。ライトボックスの使用は作品に面白いビジュアル効果を加えている。薄い色には透明感を、濃い色には華やかさを与え、色のコントラストを激しくしている。更にライトボックスの厚みは写真に不思議な立体感をつくり、後ろから射す光は写真にテレビやビデオといったスクリーンメディアのような効果を与えている。 |
展示風景、Gallery
II 左から Capsule 506, 1999 Capsule 508, 1999 Capsule 510, 1999 Capsule 512, 1999 Photo: © Kuma, 2001, |
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一見ビデオのワンクリップにも見えなくない写真とは対象的に、Yassのビデオ作品はかなり写真的だ。ループビデオ「Town: boxing」 (2000)では、ボクシング中継を見ている少年の顔が黒を背景に一定のアングルから映されている。実際のスピードの八分の一というスローモーションで再生されたビデオには、ほとんど動きがない。固まった映像に写真なのかと思いかけた頃、少年の目がゆっくりと左右に2、3回揺れ、また固まる。束の間だったが、少年の目の動きはその小さな動きには似合わないほど目立ち奇妙に感じられた。 現実の鏡のような写真とは異なり、Yassのイメージは、精神病院シリーズのように、その場の独特な雰囲気を巧みに捉え、それを通し私達に深い感覚的体験をさせてくれる。操作をすることによってより多くのものを伝える彼女のアプローチはビデオ作品にも共通し、時間の操作によってつまらない一瞬の動作がみごとに印象深いものへとなっている。 伊東豊子(Toyoko Ito)、2001年2月11日 Catherine Yass
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展示風景、GalleryIIII
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