

「Dolly
and Jemima Brown (ドリー・アンド・ジェマイマ・ブラウン)」の世界はとても変わっている。
展示室には、動物と人間のハイブリッドのような子供たちがマネキン人形のように直立不動で立っている。彼らは一様に動物のマスクをかぶっている。お尻からは尻尾がたれ、羽を生やした子がいれば、ペンギンの足をした子もいる。
いかにも普通を装って、この子供達は園児服やフリルの付いたワンピースに身を包んでいる。だが、ダッフルコートに押し込またアヒルは同時に人間の肌をも持ち、その組合せは異様にシュールでとてもディズニーアニメを見ているようには楽しめない。
細部に目を配り始めると、この肌が妙に気になってくる。手や足の皮膚はツルッとしていかにもマネキン風なのに、マスクの下からでる顎は妙にリアルで中年女のそれのように疲れて見える。にわかに子供たちが年齢不詳の生き物のように見えてくる。
作品が不気味であれば、作者の行動も変わっている。二人は姉妹のように聞こえて、実は違う。違うどころか、Dollyは人間でさえない。クローン羊第一号と同名の彼女は、Jemimaそっくりに創られたクローンなのだ。Jemimaの体を模ったパーツに、マネキンやセックスドールからの手足くっ付けた人形であって、物理的にはここに展示されている子供達と同じ部類に属す。が、興味深いことに、Jemimaはこの人形を共同制作者にしてしまっている。
遺伝子科学の進歩により人間のクローン化が可能になりつつある今日、JemimaとそのクローンDollyの作品と活動は、科学と技術の進歩がもたらした新しい展開に対するコメントと受け止められるだろう。遺伝子操作の持つ人工性と危険性が、人とも動物とも呼べない彫刻の不気味な姿によって、またアーティストの不可解な行動によって浮き彫りにされているように感じられた。
伊東豊子(Toyoko Ito), 2002年1月
Jemima & Dolly Brown
011103-011202
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