

Martin McGinn, Iceland, 2001(部分)
The Saatchi Gallery での展示風景
photo: toko, 2001 ©
ロンドンのスーパーやコンビニというと薄暗くて殺風景なところが多く、清潔で明るい日本のそれにはない疲れを感じることがよくあります。特に、寂れた地域の店では夜遅くなると客はほとんど見当たらず、ブーンと響く冷蔵ケースのモーター音を聞いているうちに、そこが陳列棚と自分しか存在しないシュールな世界であるかのような印象を受けることがあります。
Martin McGinn(マーティン・マックギン)の油彩から感じたものは、まさにこのシュールな気配でした。これらの油彩は消費社会の構成メンバーであるスーパーマーケットやコインランドリー、電気店などを描いた作品ですが、どの店もロンドンの貧しい地域にある殺風景なものばかりで、人気のない店内からは息を呑むような静寂さが伝わってきます。薄暗い店内に並べれれた商品からは、ずっとそこにあり続けるかもしれないという永遠性が感じられます。
消費といえばポップアートの得意とするテーマですが、McGinnの作品には商品をアイコン化するようなポップアート的な要素はみられません。スタイルが与える印象は控えめで、伝統的技法の一つである遠近法の使用が目立ちます。天井や床のライン、棚や冷蔵庫の列が、見る人の目を奥へ奥へと誘っていきます。鋭い角度で奥へと突き進むその空間は、見方をかえると遠くの一点からこちらに向かって大口を開けた空間のようでもあり、自分がその空間の延長線上に立っているような不思議な印象も受けます。
消費社会など社会性のある主題をもつ作品には、それを指示あるいは批判するといった作家の考え方が反映されるのが普通ですが、McGinnの作品からはコメントを控えた中立的な姿勢が感じられます。この中立性のせいなのでしょうか、見る側の意識は知らないうちにビジュアルへと集中してしまいます。そして、みすぼらしいはずの店内が怪しい光に包まれた魅惑の空間に見えてくるのです。
伊東豊子(Toyoko Ito), 2002年3月
Martin McGinn
020308-020414
Saatchi Gallery at 30 Underwood Steet
30, 34 and 40 Underwood Street
London N1
07951 697891
地下鉄:Old Street (Northern Line)
木―日1200-1800