Catherine Yass
Descent: HQ5: 1/4s, 4.7°, Omm 40mph 2002
Ilfochrome transparency, lightbox
164 x 129 x 12.5 cm
Courtesy the artist and Asprey Jacques, London


今年のターナー賞候補者は、Fiona Banner(フィオナ・バナー)、Liam Gillick(リアム・ギリック)、Keith Tyson(キース・タイソン)、Catherin Yass(キャサリン・ヤス)の四人。映像と写真が際立った昨年にくらべ、今年は絵画、ドローング、テクスト、立体、インスタレーション、写真、映像とメディアの幅広さが目立つラインナップとなっています。

まずは、今年唯一、写真/映像を発表しているキャサリン・ヤス。展示作品は映像作品2点にライトボックスに載せた写真3点。映像作品「Flight」はリモコン操作のヘリコプターにカメラを取り付けて撮影したもので、重心を失った眩暈患者の目を通してロンドンの街をみているような変わった映像。写真と残りの映像「Descent」は今年春にAspray Jacquesで披露された作品で、両方ともドックランドにある高さ700メートルのクレーン車から撮影されたもの。タイトルが示す通り、この映像は上空から地上へと降下しながら撮られたものですが、上下が逆様に提示されているためビルが浮かぶ空にゆっくりと上昇していくような印象を与えます。同じ風景を写した写真のほうではビルの輪郭は線状に引き伸ばされ、抽象画のような印象を与えるとともに激しいスピード感が伝わってきます。




Liam Gillick
Installation view featuring:
Coats of Asbestos Spangled with Mica
, 2002
Anodized aluminium framework, Perspex panels
840 x 1680 cm and display case Computer
plans for works, projects and graphics 2001-2002
Photc: Tate Photography
Courtesy Corvi - Mora, London
© the artist

ファインアートとデザインの境界線に挑むのは、今年Whitechapel Art Galleryで大型個展が開かれたリアム・ギリック。彼の展示作品は天井一面を覆うガラスタイルのようなストラクチャー。赤味や青味を帯びた光が室内をつつみ、とてもアンビエントな感じ。人工的なマテリアルとミニマルなフォルムがドナルド・ジャッドへのルーツを感じさせる一方で、ソーホーあたりのバーの室内デコレーションを思わせる一面も。今回の候補者のなかでギリックは最も幅広く活動している作家の一人で、評論やキュレーションのほか、商業デザイナーとしても沢山のプロジェクトをこなしています。その内容も、ポルシェ本部の交通システムやフロリダ空港のウィンドーデザインなど大規模なものからショッピングバッグのデザインまでと色々。今回はこれらのデザインプランも併せて展示されています。




Fiona Banner
Arsewoman in Wonderland, 2001 (Detail)
Billboard (screenprinted on paper), glue
415 x 605 cm
Photo: © Tate Photography
Courtesy the artists and Frith Street Gallery, London

Fiona Bannerの関心の対象は、伝達メディアとして無限の可能性を秘めながらも時にその限界をも感じさせる言語。その彼女の作品には、立体、平面を問わず必ずといってよいくらい文字が登場します。遠くから見るとピンク一色にしか見えない4mX6mのスクリーンプリント「Arsewoman in Wonderland」は、同タイトルのポルノ映画のなかのヘビーなセックスシーンを活字にしたもの。その活字の密度、色の度ぎつさ、延々と続くボリュームは、一行も進まないうちに目を閉じい気分にさせるのに十分。床に置かれた楕円形の彫刻は一見ただのミニマリスト風の彫刻にしか見えませんが、実はピリオド(句点)をあらわしたものという突飛な発想。




Fiona Banner
Arsewoman in Wonderland, 2001 (Detail)
Billboard (screenprinted on paper), glue
415 x 605 cm
Photo: © Tate Photography
Courtesy the artists and Frith Street Gallery, London

Keith Tysonも活字が目立つ作家。でも彼の場合、興味の対象は科学や哲学、情報ネットワークといった方面。今回は30点以上のドローイング群から成る「Studio Wall Drawing」、一見同じに見える2枚のパネルでパラレルワールドを表現した「Bubble Chambers: 2 Discrete Molecules of Simultaneity」の他、モノリスっぽい印象をあたえる不思議な立体「The Thinker」などを発表しています。なかでも一番目立つのは壁一面を埋め尽くすドローイング群で、大判のポスターサイズのそれらには人体解剖図や機械の製図、分子構造図のようなものが素人風に描かれています。これらにさらに走り書き風の解説や計算式が加えられ、まるで科学者のノートの中身をみているような気にさせられます。

今年も例外にもれず候補者をめぐり賛否両論が激しく飛び交っていますが、それもあと数日で終わり。今週の日曜日には受賞者が発表されます。

Toyok Ito、2002年12月

 

Turner Prize 2001
Tate Britain
011030-020105

Tate Britain
Millbank
London SW1P 4RG
020 7887 8008
www.tate.orge.uk

地下鉄:Pimlico (Victoria Line)
月−日:1000-1750


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