「第三十五回アート・バーゼルはまさに芸術のフェスティバル」。ディレクターからの満悦のコメントで幕を閉じた今年の国際アートフェアは、6日間で来場者5万2千人、報道陣1,600人を動員し、世界で一番大きな《テンポラリー・ミュージアム》としてのプライドを見せつけてくれた。

アート・バーゼルの構成は大きく分けて四つ。270軒の商業ギャラリーがブースを構えるフェアの会場、その一部に設けられた若手にフォーカスした「アート・ステートメント(Art Statements)」、5年前から始まった大作を対象とする展示「アート・アンリミテッド(Art Unlimited)」、今年からスタートした屋外展示。35年間の歴史もさることながら、販売だけでなく展示にも力を入れたこのアプローチこそが、同時期に隔年で開催されるもう一つの国際現代美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレと比較される所以となっている。

 

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コレクターでない者にとって一番の見どころとなるのは、ダイナミックで娯楽性の高い大作がテーマパークのような勢いで展示されていたアート・アンリミテッドだ。今年のラインナップは70年代の前衛マリーナ・アブラモヴィッチから今年のターナー賞候補者ジェレミー・デラーまで古株若手を取り混ぜた69名。中でも注目を浴びていたのが、綿菓子でできたようなアーウィン・ワーム(Erwin Wurm)の家、小さくなったアリスの気分を味わえるロバート・テリアン(Robert Therrien)のダイニングセット、アニメ風に描かれた青島千穂の巨大な看板、子供に大人気だったファブリス・ギジ(Fabrice Gygi)のトランポリンなど、子供から大人まで幅広い層にアピールするインタラクティブな作品だった。

 

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そして、娯楽性の高いこの会場にさらなる躍動感を加えていたのが、会場上部に設えられた川俣正による「キャットウォーク」だ。歩くと板がミシミシと軋む手作り感あふれるこの橋は、それだけでも十分体験のしがいがあったが、ブースのはるか上から展示会場全体を一望できてしまう点がまた素晴らしかった。傍で見たときに圧倒された作品が、ここから見下ろすと、仕掛けが丸見えになってオーラが剥ぎ取られてみえる。マイクロとマクロの両方を体験させてくれるとは粋だ。

 

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公園の遊具を真似たような屋外展示の方も、まずまずの受けだった。とりわけ注目を集めていたのが、タイムマシーンのように忽然と広場に置かれたモニカ・モンビチーニ(Monica Bonvicini)の鏡張りの箱。開けてみると意外にも中はトイレで、外の景色を眺めながら用をたせてしまう。交通事故をハデに演出したようなエルムグリーン&ドラグセット(Elmgreen & Dragset)のヴァンも、妙にその場に合っていて痛快だった。

 

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最後になるが忘れてはならないのが、バーゼルの存在理由であるアート・フェアだ。申込み数850団体の中から選ばれた今年のギャラリーは、欧州、北南米、アジアから集められた270団体。さすが世界一を誇るだけあって、その数は昨年ロンドンに誕生したフリーズ・アートフェアの二倍。同フェアの三倍近くあろうかと思われる2フロアーを使った会場は、数日かけても見きれない。ここでの一番の話題は、国際舞台への登竜門として名高い「アート・ステートメント」のコーナーで、12カ国17名の若手の作品が脚光を浴びていた。そのうち最も存在が際立った二名、アレクサンドラ・ミール(Aleksandra Mir)とティノ・セーガル(Tino Sehgal)にバロワーズ賞が授与された。

 

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Art 35 Basel
040616-040621

www.ArtBasel.com


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