このように「Galleon
…」も、前回の「New Blood」同様、手作り感を特徴とする若手の立体が中心だが、今回はこれに加えて常設展の方もだいぶ変わった。トレイシー・エミンやクリス・オフィリが廊下から消え、チャップマン兄弟やデミアン・ハーストも小部屋からなくなった。つまり、サーチが最も得意とするYBAたちは、ほんの幾つかの例外を除いて、円形大ホールにすっきりと収まってしまった。 その代わりに増えたのが、リュック・タイマンス、タル・Rなど注目を受ける国外アーティストによる絵画だ。表現主義を思わせる情緒的なものから土臭いフォークロア風絵画まで、ストーリー性を感じさせる作品が小部屋を塞いでいる。また今回、サーチ初登場の新人も5名ほど取り上げられ、ダナ・シュルツや杉戸洋などの作品がボイラールームと呼ばれる白壁の展示室に飾られている。 モマートの火事をYBA主導の狂乱騒ぎにピリオドを打つものとシニカルに捉える人は少なくない。《YBAの美術館》という名目で一年と三ヶ月前に開館したサーチ・ギャラリーで急速に彼らの影が薄れていくのをみていると、その最大の被害者であるサーチ自身、これを受け入れたのではないかと思いたくなる。新たな門出と未来への希望を象徴する「船」で始まる今回の展示は、もしかしたらそんな彼の、前に進まざるを得ない心境を密かに語っているのかもしれない。たとえそれがノスタルジアに埋もれ、先の見えない門出であったとしても。 |