30ヶ国分のパビリオン展示とその他の特別展示を見終え、会場を後に。が、帰る途中、船着場の近くで、真っ白な十字架の列に遭遇。こんなところに十字架なんてあったけ?と思い、作家らしき人に聞いてみたところ、「Crosses of Liberty(自由の十字架)」という作品だという。ノルマンディーの米兵戦没者墓地に並ぶ十字架を基に作ったもので、アメリカの戦後の軍事外交政策、なかでもとくにイラク戦争を非難し、人々の関心を向けるべく作ったとか。今回あちこちで見かけた便乗組と同じく、こちらの作家のスタイン・ヘニングセン(Stein Henningsen)も個人で参加。

ビエンナーレの会場をでた途端、目に飛び込んできた政治色丸出しの作品に、ふと、アメリカ館のお隣のノルウェー館がこれを展示したらどうなるだろうかと考えてみる。平和な楽園ムードに亀裂が走るだろうか。そんなことを考えているうにち、欠けていたパズルのピースが見つかったような気がした。ビエンナーレの鑑賞は楽しかったけれど、切れ味の悪い刃物に似た鈍さというか、燃焼しきれてないような雰囲気を感じなくもなかった。それはもしかしたら、この隣りご近所を意識する目と関係しているのかも。ヴェネツィア・ビエンナーレは良くも悪くもアートの楽園。現実の向こうに広がる世界なのだ。

 



Photos: © Toyoko Ito 2005



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