オーストラリア館の公式オープニング。30分前に到着したにもかかわらず既に大勢の報道陣が。コミッショナーらに続き、同館史上最年少のリッキー・スワロー(Ricky Swallow)の応援にかけつけた女優のケイト・ブランシェットが挨拶。「リッキー・スワローは、オーストラリアでもっとも大胆でエキサイティングな若手作家のひとり・・・ニューサウスウェルズの展覧会で初めて彼の作品を見たのですが、精巧に彫られた魚介類を前に言葉を失ってしまいました」。

リッキー・スワローの彫刻は(久しぶりに立体ではく彫刻と書いた)、ブランシェットの言葉どおり、歴史との接点を失ったかのような現代アートにあって、神業のような伝統的技巧を見せ付ける。塗られていないために「木」であり「造り物」である事実を突きつけられるが、リアルな形と素材を前に、頭のなかで色が再現されていくような錯覚を覚える。まるでシャルダンの絵のように。

優れた作品は時に、それがどうやって作られたかというプロセスの部分を見る者の脳裏から吹き飛ばしてしまうが、スワローもまさにその一人。「Killing Time」と題された作品の、テーブルの上に並んだ沢山の魚介類やフキンがテーブルとひとつづきの、ひとつの木の塊から彫られたものと知ってあらためて驚いた。一年ぐらい掛かったとのことだが、時間の問題じゃない。時間を掛けたからといって作れるものじゃない。それにしてもタイトルが憎い。「暇つぶし」とは。

オーストラリア館は前回もパトリシア・ピッチニーニの息を吹き込んだようなリアルな少年像で見るものを震撼させた(グロテスクな生き物にも驚かされたが)。今回のスワローの起用によってこの技巧重視路線に拍車が掛かったように見えるが、完全にメーターが振り切れてしまったアーティストの作品というのは気持ちがいいものだ。

写真上から

1, 3)Ricky Swallow
Killing Time (detail), 2003-2004
Laminated jelutong, maple, 108cm x 184 x 118 cm
© Ricky Swallow. Purchased with funds provided by the Rudy Komon Memorial Fund and the Contemporary Collection Benefactors' Program 2004 Art Gallery of New South Wales Collection . Photo Karl Schwerdtfeger

2, 4
) オーストラリア館の公式オープニングにて
Photo: © Toyoko Ito 2005


5)
Ricky Swallow
The Exact Dimensions of Staying Behind 2004-05 detail
laminated lime wood
70 x 110 x 105cm
Courtesy of the artist and Stuart Shave/Modern Art, London
Photo: Andy Keate













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