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| アイスランド館のパーティーに出席するためにジャルディーニに戻ったプレビュー二日目。こちらの代表は鬼才カップル、ビョークとマシュー・バーニーのそれぞれとコラボ体験済みの注目の若手、ガブリエラ・フリドリクスドッティ。今回も彼女のためにビョークがパフォーマンス出演と音楽を担当し話題になっていたが、そのビョークをパーティーで目撃。スタッフに混じって気さくに話していたセレブらしからぬ姿が印象的。聞いたところによると、バーニーもくる予定だったが、金沢21世紀美術館の「拘束のドローイング」展の準備に追われ予定を変更したとか。 |
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| コレクターにキュレーター、美術館関係者がどっと押し寄せた二日目は、出品作家以外のアーティストも華やかな姿でちらほら。そのひとりが、英国が誇るターナー賞作家のグレイソン・ペリーで、彼のオールター・エゴ「クレア」に変身して登場。どの国でも中年男のドレス姿というのは珍しいようで、行く先々でカメラマンに追われる始末。「撮ったって構わないけど、足は止めないわよ」。「え?撮って欲しいからそんな格好しているんでしょ?」なんてやり取りが聞こえてきた。 |
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| ビョーク、ペリーと華やかどころを見た後は、ジャルディーニの奥の奥、今回もっとも大胆な行為にでたオーストリア館へと直行。パビリオンの姿が影も形もなくなり、その代わりに張りぼて風の「山」がそびえていた。『The Last Land』と題されたハンス・シャーブス(Hans Schabus)のこの「山」は、外からは登れないものの、自由の女神や大仏様のように中からは登れる。この中がまた、大量の材木が縦横斜めに入り乱れたすごい「現場」なのだが、てっぺんまで登ると、そこから外を見渡せるようになっている。 |
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| オーストリアからギリシャまで8カ国のパビリオンが並ぶこの辺りは、芝生が一面に広がるのどかな公園。それを十分に意識してのことか、ブラジル館では楽園のなかのオアシスのごとく、水と音を使ったインスタレーションが展示されていた。リズム感のいいノイズ系の音楽に導かれて入ると、床一面が水を張った「池」。その上に、音源である大きなスピーカーがひもで吊らていて、とてもシュール。反対側の壁を見ると、リズムに合わせてブルーのライトが点滅していた。 |
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ブラジル館の真向かいには、ビエンナーレの公式企画展の会場とは別に、もうひとつのイタリア館がある。イタリアの文化省従属機関DARCのパビリオンで、30歳以下の若手を対象とするアワード展を開催。377名の中から選ばれた4名の作品は、子供が描いたような子供の絵や、ゴンドラを漕ぐ男の映像などわりと無難。個人的に気に入ったのが、グリーンハウスとスペースシップを合体したようなロリス・チェッキーニの立体。今回は床にコロッと置かれていたが、木に固定して木の上の小屋になることもあるようだ。 |
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その二つ先のセルビア&モンテネグロ館は、周囲の楽園ムードとは打って変わってダークな世界。エレナ・トマセヴィックの死を暗示するような、バイオレントでエグいドローイング。フレームも黒枠と縁起が悪いが、意外にもタイトルは『Joy of Life』。イゴール・ラクセヴィックの映像は、鳴りひびく電話のベルにもかかわらず、一向に水の止まる気配がないバスルーム。一体いつ死体が出てくるのかとハラハラしていると、カーテンの隅がちらりと動いておしまい。 |
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| その並びのルーマニア館は、「透明アート(invisible artworks)」にご執心というダニエル・クノールの超ミニマルな作品で、館内はまったくの手つかず状態。絵とか立体とかいわゆる展示品は一切なく、壁など建物への細工も一切なし。つまり、展示室は前の展示が終った時のまま。スタッフの話によると、展示室の"傷跡"を見せることによってパビリオンの歴史を伝えるのが狙いとか。入口に作品と同じくらいミニマルな、表紙が真っ白のポケットサイズの本が置かれていて持ち帰り自由だった。なかは理論がびっしり。 |
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| アートと病院が交わるギリシャ館。展示室には覗き穴のついた、筒のようなもので出来た立体が。なかを覗くと、ギャラリーの空間とも病院の廊下ともいえる真っ白の空間に、土色の肌をした人形が三々五々。隣りの展示室には、あまり特徴のない風景がスライド映写されていたが、寝たきりの患者が見た風景とでもいうように、何枚進めど同じ画像。ギリシャ館ではこの展示の一環として、イタリアの献血ドナー協会の協力のもと、ヴェネツィア病院で献血会を催したとか。比喩の領域でとどまっていないところがユニークだ。 |
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8カ国の展示をひとまとめに見たところで一休みしていると、グレイソン・ペリーに負けない派手な装いで、国際展の常連カップル、エヴァとアデレに遭遇。つるつるのスキンヘッドに、ピンクのドレス、レースのパラソルの組み合わせが絶妙。ベルリン在住のこの二人、一応絵も描いたりするが(バナナをしゃぶっているセルフポートレートとか)、こうやって人に写真を撮られるのも芸術活動の一部だとか。近いうちに日本でも展示することになるかもとか。 |
一休みのあとは、ジャルディーニ最後のラウンド。まずは、完璧なるシンメトリーな空間で、ポップアートの大御所エド・ルッシェを見せていたアメリカ館。大御所ならではのユニークな展示で、十年以上も前に描いた風景画(厳密に言うと建物の絵)と、それらを基に描いた新作を一緒に見せていた。十数年の時間の経過と、それが建物に及ぼした変化を効果的に伝えるべく、展示室を現在用、過去用と二つに分け、部屋の同じ場所に同じシーンの絵画が置かれていた。時間を経て、色がモノクロからカラーに変わる点が面白い。 |
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| そのお隣のイスラエル館では、NY在住の作家ガイ・ベンナーが、ナンセンスを通じアートを揶揄。このパフォーマンス映像では、作家自身が漂流民のような格好をして登場するのだが、暇をもてあそぶように不恰好な「木」を解体し、組立て直していくと、最後に椅子とテーブルとハイベッドが出来上がる。つまり、組立て家具で出来ていた「木」だったのだが(よってタイトルも『Treehouse Kit』)、これが会場に堂々と展示されているだけに結構笑える。私のお気に入りのひとつ。 |
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| シュールさが魅力なのが、ハンガリーの展示。碇、旅人など海洋国家ヴェネツィアにやんわりと繋がるモチーフを用いた映像とインスタレーション5作が展示されているのだが、どれもこれも不気味なまでの謎と神秘に満ちている。一対の長いスキーの板をシェアして反対方向に進もうとする聖職者二人。鎖でがんじがらめに動きを封じられた旅人。ダイバーズヘルメットを被って聖杯を口にするパジャマ姿の男女。みな顔がない。頭も空っぽ。自由を奪われた盲目な人々とでもいうのか。 |
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| こちらは場所が変わって(日も変わって)、サン・ステイの船着場近くのバロック教会で行われていたスイス代表のひとり、ピピロッティ・リストの特別展示。現代のミケランジェロと呼びたくなるこの作品は、教会の天井に創世記のストーリーを基にした映像を流したもので、アダムとイブならぬイブとイブが絡みあうシーンが艶やかに展開する。床に敷かれたマットレスに寝そべって鑑賞できるのだが、これがトランス状態とでもいうか、まるで色の仮想空間を彷徨っているみたいで気持ちがいい。一時間待っただけのことはあった。 |
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| こちらもジャルディーニの外。アルスナーレの会場奥に今年新たにパビリオンをオープンした中国の展示。でもパビリオンオープンとは言っても、実際に建物ができるのは次回の2007年。今年はその敷地内に建つ船のオイルタンクの格納庫と、それに隣接する公園を使っての展示。作家5名をまとめるキュレーターは、国際的に有名なアーティストのツァイ・グオ・チャン(Cai Guo-Qiang)。空飛ぶ円盤にとりつかれた農夫を招いて作らせたスン・ユエン&ベン・ユー(Sun Yuan & Peng Yu)の「未確認飛行物体」や、ユンホー・チャン(Yung Ho Chang )の竹製の巨大彫刻など、公園にあった長閑な展示。 |
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30ヶ国分のパビリオン展示とその他の特別展示を見終え、会場を後に。が、帰る途中、船着場の近くで、真っ白な十字架の列に遭遇。こんなところに十字架なんてあったけ?と思い、作家らしき人に聞いてみたところ、「Crosses
of Liberty(自由の十字架)」という作品だという。ノルマンディーの米兵戦没者墓地に並ぶ十字架を基に作ったもので、アメリカの戦後の軍事外交政策、なかでもとくにイラク戦争を非難し、人々の関心を向けるべく作ったとか。今回あちこちで見かけた便乗組と同じく、こちらの作家のスタイン・ヘニングセン(Stein
Henningsen)も個人で参加。 |
| 『ヴェネツィア・ビエンナーレ訪問ダイアリー1』はこちらからどうぞ。 |
51.
Esposizione Internazionale d'Arte |