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舞台は変わって、こちらは絶えず人がせわしなく動き回っていたアメリカ館。96年にエイズで亡くなったキューバ出身の美術家、フェリックス・ゴンザレス=トレスの展示になる。会場にあった作品は、平積みにされた紙の束や、床に敷き詰められたキャンディーなど、ゴンザレス=トレスの代名詞にもなっている「ご自由にお持ち帰りください」主義の品々。見ていて感心したのが、作家と観客のあの世とこの世を越えた阿吽の呼吸。ゴンザレス=トレスの遺言を守るとでもいうように、みな脇目もくれずに紙のもとへと直行し、それをひらりと持ち上げ、器用にくるくると丸めて持ち帰る。3人、5人、10人と、人が人を呼び、紙が人と一緒になって即興パフォーマンスを繰り広げる。デパートのセール会場のようなその凄まじい光景には、ゴンザレス=トレスも草葉の陰で嬉し涙を流していたことでしょう。