Tacita Dean, Craneway Event 2009
Courtesy The artist, Frith Street Gallery, London and Marian Goodman Gallery , New York and Paris

昨年7月に永眠した20世紀を代表するダンサー/振付師、マース・カニンガム。モダンダンスの歴史に名を残すこの巨匠と彼の舞踏団の練習風景を収録したタシタ・ディーン(Tacita Dean)の映像《Craneway Event》が、ウェストエンドのフリス・ストリート・ギャラリーで公開中。カニンガム最後の映像コラボレーション作として話題を集めている。

かつてフォード社の工場だったスタジオで撮られた映像は、ディーン定番の16ミリフィルムになるが、長さはフィーチャー映画と同じ1時間48分。スタジオの大きな窓から降り注ぐ光の変化と、何の気なしに戯れるダンサーたちのフォルムがとても美しい作品。ダンサーの動きとは対称的にカメラのポジションがあまり変わらない映像は、まるでカメラが存在しないかのような透明感に溢れている。16ミリフィルムにしてはスクリーンが大きくて、ダンサーたちのリズミカルな足音が始終会場に響き渡り、スタジオの片隅に立って稽古を見ているような錯覚を覚える。

この作品の見どころといえば、世界的に有名なマース・カニンガム舞踏団の練習風景をのぞけることだが、それにもまして感動的なのが車椅子姿で登場する今は亡きカニンガムの存在。からだの身動きを奪われてもスタジオに入りびたり熱心にダンサーたちを指導するその姿は、生涯を表現に捧げた芸術家の極み。その言葉少ない指導によって、ダンサーたちのフォーメーションが磨かれていく過程がなんとも素晴らしく、「創作のブレインここにあり」とその偉大さを感じる。

ディーンがこの映像を撮影したのが2008年11月。その編集に取りかかった矢先にカニンガムの訃報が届き、彼女の失望もひとしおだったようだが、「自分はまだカニンガムとコラボレーションができる特別な立場にいる」と悟り、これを仕上げたようだ。少々長いのが玉に瑕だが、とても美しくて感動的な映像。とくに最後のほうのダンサーたちが夕日のなかでシルエットになって踊るシーンは絶句ものだ。(文: 伊東豊子、Toyoko Ito)

 

Tacita Dean
Craneway Event, 2009
100513 - 100623
Frith Street Gallery

上映時間
火〜金:11:00、13:30、16:00
土:12:00、14:30


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