| オールドストリート近くで先月から今月にかけて開かれた
Isonerv展。基本的には何人かのアーティストの作品を集めた、所謂、グループショーなのですが、ショー全体がMichael Croft(マイケル・クロフト)のコンセプチュアル会社「Revision
Incorporated Space Management Limited」の看板としてプレゼントされていて、捻りが利いていました。 今回展示された作家はJuan
Cruz, Lothar Gotz, Matt Calderwood, Jonathan Hatt, Douglas Park, Dan Coombs, Michael
Croft, Roddy Thomson, Colin Lowe, Paul Daly, Matthew Ticdkle, Louis Nixon等で、何人かはフォグレスでもお馴染みの顔ぶれ。でも今回のショーの一番の見所は、個別の作品ではなくショー全体のコンセプトでした。
不動産管理業務を思わせる社名「Revision Incorporated Space Management Limited」は、この類の事業名をパロッた言葉で("incorporated",
"limited")、イギリスはもちろん日本でも盛んな企業や地方自治体等による不動産再開発プロジェクトに対してのコメントとして読むことができます。
この企画では一部廃墟と化した学校の校舎が作家達自らの手で再利用され、大企業等による元公共施設などをコンシューマー・ビジネスに再利用する行為への彼らなりの「見直しと」(revision)がインスタレーションとして表現されていました。
作家達のコンセプトへの拘りは4頁綴りのプレスリリースにまで至り、ここでは不動産会社の評価資料のスタイルをもじったレポート形式が採られていました。参加アーティスト達の作品紹介も辛うじて含まれているのですが、ここまで徹しているとこれも作品の一部として考えるのが妥当に感じます。
6月にはIsonerv Plusという新スペースがオープンされる予定とのこと。このテーマの展開も実際展示される他のアーティスト達の作品と同様に、かなり期待できそうです。(クマ)
"Isonerv" 168 Pitfield Street, London, N1 020 7012 1265 |
| 観光客が押し寄せる夏は、美術館がこぞって大型企画を持ってくる季節。例年通り今年も大物が続々と登場しますが、いつもと少し違うのはどっちを向いても写真だらけという現象。テートやサーペンタインなどの大型ギャラリーからイーストエンドの商業スペースまで、心躍る写真展がずらりと勢ぞろいします。
まずは、テート・モダン初の写真展となる「Cruel and Tender」。6月5日から始まるこの大型企画では、様々ある写真表現のなかでも20世紀のリアリズムに着目。ダイアン・アーバス、ウォーカー・エヴァンス、アンドレアス・グルツキー、
ボリス・ミハイロフなど、私達の物事や社会の見方に影響をもたらしたとされる写真家20数名が一挙に紹介されます。ここでは写真の重要分野の一つポートレートも検証対象に取上げられ、トマス・ルフ、トマス・ストゥルース、レネケ・ダイクストラら近年注目の写真家達がその対象になります。十四もの展示室を駆使するテート・モダンの特別展覧会と言えば、学者でもあるキュレーター達による研究発表の場のようなもの。アメリカとドイツを中心に集められた写真家達が、どのように分類され位置づけされるのかが楽しみなところです。
そこから少し西に行ったテート・ブリテンでは、写真家初のターナー賞受賞作家であるヴォルフガング・ティルマンスに集中。現在ロンドン在住の彼はドイツはラムシェイドの出身ですが、イギリスとの付き合いはおよそ15年と長く、プロデヴューは英国の雑誌、大学も英国と何かとこの国と縁のある人。本展はそんなイギリス用に特別にカスタマイズされた企画で、I-DやThe
Face誌などに掲載された初期の作品から現在の抽象写真に至るまで主要作品が広く紹介されるという話。また最近では、ペットショップボーイズとのコラボレーションなどで映像へと手を広げている彼ですが、本展では新作発表などそちらの分野もたっぷりと披露されるそうです。
その他にも有名どころはまだまだ登場します。 まず、ロンドンで写真と言えば”ここ”的存在のフォトグラファーズ・ギャラリーが、アメリカの写真史に燦然と輝くウォーカー・エヴァンス(1903
- '75)展を開催。エヴァンスと言えば世界大恐慌の頃のドキュメンタリー写真が有名ですが、本展では彼が晩年に凝ったポラロイド写真を紹介するという意外なアングルがとられています。続いてロンドン西のサーペンタイン・ギャラリーでは、ナン・ゴールディンと並びアメリカを代表する女性写真家シンディ・シャーマン展を企画中。70年代から現在に至るまでの作品40点が展示される予定です。それから東のホワイトチャペル・アートギャラリーでも、去年、シティバンクの写真賞候補に選ばれたフィリップ・ロルカ・ディ=コルシアの個展開催が決定しています。
さらに、これでも足りない!という方には、フランス大使館主導の企画「Made in Paris」がお勧めかもしれません。こちらは去年11月にパリで開かれた写真と映像の祭典「Le
Mois de la Photo 2002」のロンドン版で、パリ在住の写真家と映像作家の作品を紹介するもの。参加団体は21団体にも上り、V&A、inIVA,
ICAら公営団体からFrith Street Gallery, Shine Galleryら商業ギャラリー、Centre
of Attentionらオルタナティブスペース系までと選り取りみどりの顔ぶれ。 中でもお勧めの一つが、現在V&Aで開催中のギィ・ブルダン展で、こちらではヘルムート・ニュートンと並ぶファッション写真の第一人者ブルダン(1928
-'91)の作品が公私に渡って多数紹介されています。あれだけの大物にして初の回顧展という点もそそられます。(トコ) Tate Modern

Tate Britain 
Photographers' Gallery 
Serpentine Gallery

Whitechapel Art Gallery 
V&A
Made in Parisのサイトはこちらから |