11月29日
今週のログ
■ 年明けに催されるアート・イベント「Minus
One 」の会場にお邪魔。場所はキングスカレッジ隣にある地下鉄オールドウィッチ (Aldwych)駅。95年前の開通当時にはストランド駅と呼ばれていたそうで、未だに建物の正面に「STRAND
STATION」の表示が。第一次大戦が始まる頃にはオールドウィッチに改名済みだったらしいが、未だに古い表示が残っているところがイギリスっぽい。10年前に廃駅になり、今は主にイベントや映画の撮影に使われている。
■ 地下鉄の駅で美術展とは、かなり粋な発想だ。レトロ感溢れる構内は幾分汚れていたが、インテリアの随所に個性がみられ展示のし甲斐がありそうだ。例えば、一見公衆トイレのように見える昔の電話ボックスなんて小型モニターを置いてヴィデオを流すのにもってこいだし、ペパーミントグリンに塗られたトイレでも一風変わったインスタレーションができそうだ。
オールドウィッチ駅構内 地下鉄の駅ならではの、閉塞感のある空間。第二次大戦中には防空壕として使われただけでなく、大英博物館の美術品の保管場所にもなったとか。
これが例の電話ボックス。昔のハリウッド映画に出て来そうな感じ。 photo: toko
■ 出品作家の詳細はまだヒミツのようだが、キュレーターの伊東篤英 さんによると、国内外のアーティスト約30人が参加するらしい。アートイベントであると同時に、難病の子供達を支援するチャリティーイベントにもなっているという。展示に先駆けて来月中旬には、キングス・カレッジ・ホスピタル で子供向けにワークショップを開くらしい。
■
26日の晩は、「Assorted Asian Tigers 」展のオープニングに出席するためにプラウド・ギャラリー へ。こちらの企画は、執筆、キュレーション、アドバイザー役と広く活躍する澤文也 さんによるもの。準備に半年をかけ、最後のひと月はロンドン、パリ、シンガポール、バンコクなど世界各地を飛び回る毎日だったとのこと。(詳しくは『Luca4号 』を参照)。
■ 「Assorted...」での展示者は、アジア各地から集められた作家10名(グループ含)。壁と床を効果的に使って、写真、ヴィデオ、立体、ドローイングなどバラエティーに富んだ作品が展示されていた。個人的には壁一面をピンクの花畑にしてしまったマイケル・リン さんの壁紙が好きだった。ロンドンの憂鬱な空気を吹き飛ばすようなあの明るさが良かった。
プラウド・ギャラリーでのオープニングの風景。左の男性がキュレーターの澤さん。 photo: toko
■ スポンサーがヒップな『Dazed & Confused 』誌とあって、展示室の奥にはDJ付のクラブスペースもしっかりと確保。その一方で、赤い提灯がバーを照らせば、チャイナドレス姿のお姉さんがビールやお摘みを持って会場を行き来。ロンドンのストリートカルチャーと亜細亜文化が混じった不思議な組み合わせだった。
■
この日の私のハイライトは、思いがけぬところでお会いできた束芋 さんとの会話。東京オペラシティー でのショーのことなどをお伺いし、そのあとに前々から聞きたかった名前を由来を質問。その答えは、『田端家の三人兄弟の真ん中で、田端の妹って呼ばれていた。それがいつのまにかタバイモになり、さらに束芋になった』、ということだった。疑問解消。(トコ)
Assorted Asian Tigers 031127 - 031130 Proud Gallery, 10 Greenland
Street, London, NW1 0ND
11月26日
Artist's
Corner
新企画「Artist's Corner」の初回である今回は、グラフィックデザインと現代美術の両世界で活躍する加賀田恭子 さんによるレポート です。
「ロンドンで個展を開きたいのですが、どうすればいいでしょうか?」「どうやってギャラリーにアプローチすれば良いのでしょうか?」といったメールを、フォグレスでも これまでに沢山戴いてきました。
今回はそれに対する一つの答えとして、ロンドンでの個展経験を持つ加賀田さんにご協力いただきました。 ギャラリーへのアプローチからミーティング、搬入、当日のパフォーマンスまで、個展開催までの経緯がウラ話やアドバイスを含めて綴られています。
11月25日
一言ニュース
■ 明日26日(水)の晩、テート・ブリテン でジェイク・チャプマン のトークがあります。「残念、無念、Chapmanの講演はSold Out」とさっき智子ちゃんから連絡をもらったばかりですが、有難いことにウェブでライブ放送してくれるとのこと。トークのお相手は最近オールドマスターズ系に鞍替えした(?)マシュー・コリングス。「受賞スピーチのリハーサル?」という噂も・・・。詳細はテートのサイト で
■ 出遅れましたが、恒例のRCA Secret が22日から始まったとの情報を入手。こちらのイベントでは、葉書サイズのアートが一律35ポンドでブラインド・セールに掛けられます。今年もトレイシー・エミン、デミアン・ハースト、サム・テイラーウッド、ジュリアン・オピーら人気作家が含まれているようですが、誰の作品かは買って手にとるまで分からないという「後でのお楽しみ」的な企画。木曜日までが見学で、土日にセールが実施されるとのこと。詳細はRCAのサイト で
■ サーチ・ギャラリー とギャラリーが入っているカウンティー・ホールの大家との間で衝突が起きているというニュースが、オブザーバー紙とデイリー・テレグラフ紙の両紙に掲載されました。両紙によると大家は日本人のマック岡本氏とのこと。二週間ほど前のことなので少し古いですがこちらで読めます。
The
Observer Daily
Telegraph
11月24日
ロイヤル・アカデミー新展示スペース確保
先月オープンした別館で公開中のアルマーニ展が好調なロイヤル・アカデミー (RA)。今度はその本館に新たな展示スペース「Fine
Rooms」がオープンするという噂。
RA秘蔵のコレクションから名作が展示されると言われる新スペースは、噴水がある中庭に面する本館内。これまで会議や企業向けイベントに使われていた部屋がギャラリーとして登場するとのこと。まず最初の展示には、スタンリー・スペンサー、デイヴィッド・ホックニー、ジョシュア・レイノルズ、トマス・ゲインズボロなど新旧併せた顔ぶれが予定されている。
Giorgio Armani展 新館「バーリントン・ガーデンズ」がオープンして早一ヶ月。オープニングパーティーに駆けつけた
リチャード・ギアの応援の成果もあって(?)、人の入りはまずまずのよう。
ロイヤルアカデミー豆知識
■ 1768年に設立された英国で最も古い芸術機関(民間)。肖像画の第一人者であるジョシュア・レイノルズが初代会長を務めた。
■ 運営はロイヤル・アカデミシャンと呼ばれるメンバーによって行われている。メンバーの数は設立以来つねに80人に限定。欠員はメンバーが死亡した場合、またはメンバーが75歳に達しシニア・アカデミシャンに格上げされた場合のみに発生。
■ 美術家の比率は、80人中約半数が画家。残りを彫刻家や版画師、建築家などが占める。
■ 候補者はメンバーによる推薦。推薦者のほかにメンバー6名からのサポートも必要。アカデミシャンに選出された暁には、作品一点をアカデミーに寄贈。
■ 現在のメンバーには、ピーター・ブレイク、デイヴィッド・ホックニー、アニッシュ・カプーア、リチャード・ディーコン、ノーマン・フォスターなどが在籍。ギャリー・ヒュームやフィオナ・レイら若手も数名いる。今年5月には「Angel
of the North」で知られるアンソニー・ゴームリーも加わった。
■ 二百数十年に渡り業界の「権威」として君臨してきたが、加入を拒否した美術家も稀にいた。ウィリアム・ホガース、ウィリアム・ブレーク、ヘンリー・ムーアなどがその代表格。最近では「House」で知られるレイチェル・ホワイトリードが辞退。
■ 伝統と水準の高さに誇りを持つ体質が強い。それゆえか、デミアン・ハーストの「鮫」やクリス・オフィリの「象のフン」が展示された「Sensation」展(97年)のときには、アカデミシャン数名が展示作品の質の低さに怒りを訴え辞任した。
(トコ) Royal Academy
11月24日
オープンスタジオ
クリスマス・ショッピングの時期にタイミングを合わせ、今年も オープンスタジオが あちこちで予定されています。オープンスタジオは、クリエイター の手による グッズが手に入れられるだけでなく、彼らのスタジオを覗ける絶好の機会でもあります。先日いち早くウッド・グリーンのチョコレート・ファクトリーに行ってきた智子ちゃんから、新たなる情報をキャッチしました。
■ Cockpit Arts Open Studio アーティスト&デザイナー約150名がスタジオを公開 今週: 031128-031130(1200-1900)
会場:Holborn 入場料:4ポンド Cockpit Yard, Northington
Street London WC1N 2NP Tel: 020 7419 1959
来週: 031205-031207(1200-1900) 会場Deptford:
入場料:4ポンド 18-22 Creekside London SE8 3DZ Tel: 020 8692 4463
詳細はCockpit のサイトで。
■ Made in Clerkenwell こちらはデザイナーが中心。支援団体Clerkenwell
Green Associationのスタジオ二箇所で開催されます。 日時: 031129(1000-1800)、031130(1200-1800)
会場1 :Pennybank Chambers, 33-35 St John's Square,
London EC1 会場2:Cornwell House, 21 Clerkenwell Green, London EC1 入場無料
詳細はClerkenwell
Green Association のサイトで。
11月22日
今週のログ
■ スレイド・スクール (Slade School)の修士課程の学生達によるグループ展「Category B 」を鑑賞。ベスナル・グリーン行きのバスのなかで貰った案内状を見ていたら、前に座っていた人が偶然にも出品者のペニー・デイヴィス さんだった(ロンドンは狭い)。幸運にも彼女の案内のもと作品を堪能。ペニーさんはけっこう面白いことをやっている人で、パーマ屋さんだった店に三週間篭って、近所の人から貰った物を使って立体を作ったそうだ。制作のプロセスを見せたかったから、わざわざウィンドー付の店を借りたということ。サイト へ
■ 「Category
B」では、留学生の伴美里 さんの作品も見れた。ここ最近、美里さんの絵は淡い色彩を使った「夢」っぽい風景描が多い。夏の学内でのショーでは歪な形をしたキャンバスが幻想的なイメージと重なりあって印象的だった。今回は大きな楕円のキャンバスに描いた風景画が、たて鏡のように床に置かれていた。妙に存在感があった。(展示は20日で終了)
■ 木曜の夜は、「Courier 」のオープニングパーティーにお邪魔。こちらはMiwa
Kojima さんとNoriko Tanaka さんが主催するアート・ユニットで、色んな国のアーティストに展示機会を提供することをミッションとしている。今回の会場は、クラーケンウェルの裏道にある「Hat
On Wall 」というギャラリー+バー。初めて入ってみたが、ダクトが竜の形になっていたり、電気の笠がバケツだったり内装がユニーク。
■ 展示してたのは、Noriko さんとMika
Funaki さんの二人。ショーのタイトルはバーにぴったりな「Happy Hour 」で、コースターにハッピーなエピソードを書いてNorikoさんに渡すと、お手製のケーキが戴けるという仕組みになっていた。ケーキはごく普通の生クリームとカステラでできたものだったが、実は「ランドスケープ」でもあるという。エピソードのお返しにヘラをくれて、好きなように自分の「ランドスケープ」を作ってよいというので、山崩し気分で大きなピースを戴いた。甘いアートを食べて、暫しハッピーな気分に。隣りの部屋ではMikaさんのヴィデオが上映されていた。12月5日まで。サイト へ
■ 新店舗に移ったアンドリュー・マメリー・ギャラリー (Andrew
Mummery Gallery)にもお邪魔した。場所はリバプールストリートから徒歩数分のところで、その昔お茶の倉庫だったTea Building 内104号室。展示はインゴ・メラ− (Ingo
Meller)の平面で、布を長方形に切っただけの「キャンバス」に、油彩で太いラインを何本か描いた超シンプルな作品。「キャンバス」が壁に溶け込んでしまうくらいペラペラだったのが印象的。12月13日まで。
Andrew Mummery Galleryの入り口。場所はTea Buildingの一階(日本式では二階)。
■ このTea Buildingでは建物のあちこちでまだ内装工事が続いていたが、噂によると来年の今頃にはかなり立派なアートスポットになっているはずとのこと。アンドリュー・マメリーの隣には、すでにアニエスベー のギャラリーdu
jour が入りっているらしい(F-ESTの展示が終わり今は準備中、写真が主ということ)。来年にはニュークロスのヘイルス・ギャラリー (Hales
Gallery)もこちらに移転するとか。 (トコ)
11月19日
反米デモ@テート+大人だけの博物館
■ ブッシュ米大統領が昨夜到着し、物々しい警備が繰り広げられている今日のロンドン。10万人規模の反米デモが予定されている首脳会談の日を待つまでもなく、早くも全国各地でデモがスタートしたよう。テートモダンのあの太陽のホールでも「BUSH
GO HOME 」と書かれた人文字デモが行われました。(テートはデモの企画には無関係) ロンドン中心部では、ブッシュ大統領やサダム・フセイン、ロイヤルファミリーの格好をした、大々的な「ロイヤルファミリー・コスチュームデモ 」が展開。ブッシュ大統領の漫画チックな大きなマスクが、ハウザー&ワースで展示中のポール・マッカーシーの18禁のヴィデオを思い出させます。でも、あちらはアート・パフォーマンスでしたが、こちらは本物。
■ 18禁と言えば、昨日、サウス・ケンジントンにある科学博物館(London
Science Museum )内に、世界初の大人だけの博物館、ダナ・センター(Dana Centre)が開館しました。
「大人の娯楽」の施設とされるこちらは、科学、パフォーマンス、アートの三分野の融合を目的とする新しい機関。死、セックス、快楽、拷問、自殺といったタブー色の強いテーマに意欲的に取り組んでいく方針。
「昔から科学に比べてアートの方がずっと魅力的ですよね。(中略)科学におけるICA(Institute of Contemporay Art)みたいな存在になりたいです」と、ディレクターのリンゼイ・シャープさん。(The
Independent) さらに、科学者と気軽に話せ、畏まったところではタブーな話題もオープンに話せる場を目指している、とも追加。早くも昨日、「妊婦姿のオトコ」が登場し、来場者と妊娠について語り合ったということ。(トコ)
11月13日
写真家たちの写真家が主役
フォトグラファーズ・ギャラリーで毎年展示される、シティバンクがスポンサーを務める写真賞。今年から「Citigroup
Photography Prize 」と呼ばれることになったこの賞の最終候補者が先日発表された。80名以上のノミネート者から選ばれたのは、Robert
Adams (ロバート・アダムス)、Peter Fraser (ピーター・フレイザー)、David Goldblatt (デイヴィッド・ゴールドブラット)、Joel
Sternfeld (ジョエル・スタンフェルド)の4名。
Peter Fraser Untitled , 2002-2003 Courtesy:
The Photographers' Gallery
「写真の夏」が美術館を襲った今年のロンドン。それゆえに候補にあがった名前もさぞ華やかだったことと思いますが、審査員のお好みは「写真家たちの写真家」と堅実な路線。「一般大衆にはあまり知られていないかもしれないが、ドキュメンタリー写真を志すアーティスト達にもっとも影響を与えた写真家」と、今年の候補者について審査員団の議長をつとめるPaul
Wombell氏は語っている。 ロバート・アダムス (アメリカ、1937生)は、テートモダンでの「Cruel and Tender」展への貢献が評価されて選出。アダムスは都市化によって変わっていく自然の姿をテーマに、新興住宅、オフィス、ショッピングセンターなど都市化が残した形跡を何十年も撮り続けているアメリカの写真家。代表作にはテートで発表した「What
we Bought: The New World」(1970 - 74)などがある。 イギリスの写真家の関心を「日常」へと向けさせた功労者ピーター・フレイザー (イギリス、1950生)は、イギリスにおけるウィリアム・エグルストン的な存在。道端に転がるミルクカートンなど他愛のない物も、彼の手にかかると美なる物へと変わってしまう。ヴォルフガング・ティルマンスら今の売れっ子写真家の走り的存在とも言えよう。ブライトン・フォト・ビエンナーレでの展示作品が評価されてノミネートされている。
61年以来南アフリカ共和国を撮り続けているデイヴィッド・ゴールドブラット (南アフリカ、1930生)は、アパルトヘイトからポスト・アパルトヘイトへと移り変わる自国の様を記録した写真家として知られる。「私の写真は政治的な問いかけ」と自ら語っているとおり、写真を通しての社会的、政治的議論に貢献してきた写真家のひとりだ。オックスフォード近代美術館での「Fifty-One
Years」展が評価され選出されている。 ジョエル・スタンフェルド (アメリカ、1944)も、ロバート・アダムスと同じくアメリカの風景を追い続けている写真家。アンドレアス・グルスキー、ジェフ・ウォール、マーティン・パーなど多くの後輩に影響を与えていることでも知られる。今回のノミネートはフォトグラファーズ・ギャラリーで発表された15年間がかりのプロジェクト「A
Stranger Passing」が評価されてのこと。 今年は平均年齢62歳と、リチャード・ビリンガムやアンドレアス・グルスキーなど30〜40台が中心だった例年とは傾向がかなり違う。が、ポイントは、彼らの踏み台となった写真家、彼らの先輩に礼を尽くそうということのようだ。(トコ)
候補者4名の作品はThe Photographers' Galleryで1月29日から3月28まで公開される。受賞者の発表は3月4日。
詳細はThe Photographers' Galleryのサイト で
2003年のレポートはこちら で
2002年のレポートはこちら で
2001年のレポートはこちら で
11月12日
ウェストエンド:お勧めの展覧会
「見たいのは色々あるけど時間がない」、「いいモンだけ見たい」という人のために、必見3本をピックアップしてみました。
まずは、あのティティアン展を凌ぐ入り?という噂のナショナルギャラリー のBill Viola (ビル・ヴィオラ) 展。95年以降彼が「Passion」というテーマのもと制作してきた作品14点が紹介されています。この展覧会のいいところは、ナショナルギャラリーの絵画と一緒に展示されている工夫もさることながら、ヴィオラ自身のコメントに促されて鑑賞できること。シカゴの美術館で聖母マリアの絵画を前に涙したというエピソードなどジーンとくるものが結構あります。14点中とくにお勧めなのが、水と人間をモチーフに使った「The
Crossing(96年)」(ルーム5)、キリストの復活にベースされた「Emergence」(ルーム6)あたり。一昨年アンソニー・ドフェイで発表されたポートレートもあります(レビュー )。作品の一部がナショナルギャラリーのホームページ で見れます。
次はいま業界内で話題沸騰のポール・マッカーシー(Paul MaCarthy) 展で、場所は先月ピカデリーに開廊したハウザー&ワース(Hauser
& Wirth) 。マッカーシーと言えば、マイク・ケリーらと一緒に70年代からドタバタポルノのような斬新なパフォーマンスをやってきた人。その彼がかつて銀行だったギャラリーの中で、ブッシュ大統領やウサマ・ビンラディン氏に扮して、途轍もなく乱れに乱れたパフォーマンスを決行。今回のショーではその映像と撮影に使われたセット、LAで撮影されたこれまた凄まじいパフォーマンス映像などが展示されています。ちなみに今回の展示は18禁ですのでご注意を。(商業ギャラリーで18禁の貼り紙を見たのはこれが初めてだったりします。)
最後の一本は、グリーンパーク駅から歩いて1,2分のところにある商業ギャラリーSpruth Magers Lee で、展示は今年のヴェニス・ビエンナーレで金獅子賞をとったペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス(Peter
Fischi - David Weiss) 。'79年からユニットを組んで活動している二人の今回の展示作品は、写真と立体。特に印象的だったのが、162枚のスライド写真を二台のプロジェクターを使って投影した「An
Unsetteld Work」で、重なりあったイメージの溶け合う様がなんとも神秘的。もちろん練りに練った挙句にたどり着いた結果だと思いますが、なんてことのないイメージを重ねるだけでこうも魅力的な世界が作れるのか・・・と暫く目が離せませんでした。(トコ)
National Gallery
Hauser & Wirth
Spruth Magers Lee
11月11日
スペシャルレポート:Frieze Art Fair
だいぶ遅くなりましたが、先月の「フリーズ・アートフェア 」をレポートに纏めましたのでご覧下さい。
11月11日
イーストエンド徘徊
今回はイーストエンドの中でもかなりの僻地にあるチセンヘール・ギャラリー(Chisenhale Gallery) からスタート。期間中キュレーターが毎日変わる「I
am a curator 」が催されていました。申込書に名前を書いて提出すればなれる日替わりキュレーターはみな素人で、本物のキュレーター6名が選んだ作品60点余りのなかから、好きなものを選んで自分の展示をこしらえるというのがこの企画のポイント。
私が訪れた日には、昔は大学で建築を教えてたけど今は育児に専念というカレンさんが、「時間」をテーマに作品を抜粋。日本からの唯一の出品者タムラサトル さんの映像作品「That
night, he hits cans」をはじめ、好きなCDを持ってきてかけなさいという指示自体が作品になっているSam Ely and Lynn Harris の「Playlist」など12点余りが展示されていました。一般の参加を促しながらキュレーターの役割に疑問を投げかける意欲的な企画だと思いました。
二軒目は'97年のターナー賞受賞者ジリアン・ウェアリング(Gillian Wearing) の個展「Album」が開催中のインテリム・アート(Interim
Art )。展示作品はポートレート写真が6点で、モデルは彼女自身に彼女のお父さんお母さん、妹、弟、伯父とみな家族ばかり。お母さんは若い頃の見合い写真のような白黒写真、お父さんと伯父さんは昔の銀幕スター風と、どれもこれもアルバムの写真を引き伸ばしましたという感じに仕上がっています。
でもこの作品のポイントは、本当はその顔の「裏」。実は、写真に写っている顔はすべて目の部分だけをくりぬいた作り物のマスクで、写っているのはそれをかぶったウェアリング自身。写真に近づいてよく見ると、目の周りに薄っすらと不自然なラインが見え、そのなかから彼女の目が覗いています。本物と間違えるほど精巧にできたマスクは、マダム・タッソー蝋人形館の協力の下に作られたものという話。
最後はサーペンタインギャラリーでの二年前の個展(レビュー )が印象的だったダグ・エイケン(Doug
Aitken )で、場所はヴィクトリア・ミロ・ギャラリー(Victoria Miro Gallery )。一階には、IBMやアップル、コカコーラ、FedExのロゴが印刷されたダンボールで作った街を撮った写真を展示。その意味するところはコーポレートロゴに支配された世界とわりと単純のような気がしますが、ライトボックスの上で元気一杯に炸裂した色が「ネオンが寝静まらない都会の夜」風でなかなかの魅力。
二階には十字型に組まれた巨大な映像インスタレーション「Interiors」を展示。エイケンはこれまでにも十字のインスタレーションをやっていますが、今回のは刳貫き型でクロスの中心に観客が立って、十の字の出っ張りに設置された3枚の画面を見るという仕組み。左を向けば右が見えない、その逆もありとかなり不便でしたが、ここでも都会の雑踏、工場、オフィス、スクラップ置き場と、コーポレート社会の裾野に広がる日常の片鱗が画面を行き来していました。(トコ)
Chisenhale Gallery
Interim Art
Victoria Miro Gallery
11月10日
更新情報:リンク
リンク のアート情報 とアーティスト のページに、デザイン系情報サイト「Neon
Sight Japan 」と、これまでにフォグレスで取り上げたアーティストのサイトを追加しました。アーティストは以下の通りです。
Banksy Spencer Tunick Damien Hirst The Atlas Group Lucy McKenzie
Merlin Carpenter Yasushi Cho Kyoko Kagata Motoi Yamamoto Satoru
Tamura
11月7日
注目のギャラリー:Hayward Gallery
先月23日にリニューアルオープンしたヘイワード・ギャラリーをレポート。先月からフォグレスを手伝ってくれているアーティストの鈴木智子ちゃんが取材に協力してくれました。
11月5日
バンクシー四時間の快挙
ターナー賞で賑わっているテートブリテンの常設展示場といえば、皆さんもご存知、ターナーやコンスタブルなど英国の名画がずらりと並ぶ場所。億を超える高価な作品があれだけあれば、警備もさぞかし厳しいことと思われるでしょうが、それがどうも怪しい感じです。
おっとり警備が明らかになったのは、先月半ばの昼下がり。展示室に響いた「ドスン!」という物音がその始まり。血相を変えて警備員がかけつけてみると、そこには牧歌的な田園風景を白と青のテープで醜く仕上げた小さな油彩が落ちていたという。
壁には、「新しく購入したこの作品は、新ポストまぬけ様式による傑作である。大麻樹脂と昼間のテレビに影響を受けたとされる作者バンクシーについてはほとんど知られていない」と説明書きが添えられていたということ。
もう少しマシな粘着テープを使ってさえいれば・・・とやや残念なこの事件。もちろん首謀者は、先々月フォグレス日誌でも紹介したあのバンクシー 。目深帽に大き目のコートという年金受給者風のいでたちで、こっそりとテートまで作品を謙譲しに行ったという。
「絵を選んでもらうプロセスを踏むってのは、かなりつまらないんじゃないかな。自分で持って行って貼るほうが、ずっと面白いよ。間の人間がいらなくなるしね。ま、テート場合、キュレーターだけどね」(The
Guardian)と、このように手間をとった動機を語っている。 バンクシー(仮名)は、英国で最も人気のあるストリート・アーティストとして知らている。今年の夏イーストエンドで開いた初めてのギャラリー展示では、動物愛護団体からの反対のなか牛や豚をキャンバス代わりに使用した作品を発表し話題になった。
事件発覚後、テートの遺失物預かり所に回されたとされる寄贈品は、ストリートマーケットで見つけた油彩(署名なし)を用いた作品で、現代人の目に映る現実の風景を反映して、警察を象徴する白と青のテープで仕上げを施したという。(トコ)
日誌9月26日「人気急上昇の牛に羊 」
The Guardianの記事
11月4日
展覧会レビュー
お待たせしました。「ターナー賞2003」展 のレビューをアップしました。
過去の展示レポートはこちらからどうぞ 2002年ノミネート
2001年ノミネート
2001年受賞者(マーティン・クリード)
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