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12月30日 | |||||||||||||
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クリスマス特別センサーシップ
「オランダのモナリザ」と称されるこの油彩は、一世紀にも渡る研究も虚しく、いまだにモデルの素性が判らない、謎の一枚。フェルメールの長女ではないか、パトロンの娘かもしれない、などと様々な学説があるなか、この小説では、少女は父親の事故によってフェルメールの家に女中奉公することになった17歳の少女グリエとして描かれています。フェルメールの絵を理解しない妻に疎まれながらも、聡明かつ色彩感覚に富んだグリエが、画家の唯一の理解者になっていくところに読み応えを感じます。
面白いと思ったのは、この「Room 101」が、ルネサンス期の棺の装飾や、ダビデ像が置かれた、文化の墓場とでも呼びたくなるようなV&Aの古臭い部屋にあること。その多くが、もともと墓または死者を弔うために作られた彫刻なのですが、ここではみなすべてが、本物ではないときています。ほとんどが、名作の複製作りが流行った19世紀に作られた複製なのです。 複製でも構わないから、伝統文化を大切に保管しようという空気の中、ホワイトリードの巨大な石膏の塊は、どんなSF小説にも負けない異色を放っています。しかし、見方を少し変えれば、彼女の作品にもひとつの文化、あるいは価値観を、讃えて永遠のものしようとする儀式的な性質が感じられます。オーウェルが使っていた事務所を形にすることによって、「Room
101」が象徴する抑圧的な洗脳社会への警告を永遠化しようとした、とは解釈できないでしょうか。とても奥の深いキュレーションだと思いました。 | |||||||||||||
| 12月19日 | |||||||||||||
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新人アーティストの登竜門とされるベックス・フューチャー(Beck's Futures)のノミネート者が発表されました。今年の傾向は、10人中8人までがロンドン在住でありながらも、出身国はトルコ、ブルガリア、ブラジル、オランダと国際色豊かなこと。
■ 「始まって二ヶ月たらずで百万人突破」と昨日発表された、オラファー・エリアソンの太陽のインスタレーション。そのあまりにもの好評ぶりに、「まだ三十代のくせにここまでやってくれちゃ、後はやり難いだろうな〜」という声が一部でささやかれるなか、次の執行者の名前が公表されたもよう。 ■ 毎年恒例のクリスマスツリーのインスタレーションが、テート・ブリテンで披露されているようです。今年の担当者は、何年か前にトラファルガー広場の4番目の台座に、等身大のキリストの彫刻を発表したマーク・ウォリンジャー(Mark Wallinger)。テート・ブリテンに行かれる方はお見逃しなく。展示は1月6日まで。詳細はテートのサイトで。ウォリンジャーの作品についてはこちらでも見れます。
■ 高級ギャラリー街コークストリートで、日本人作家による個展が二つ開催中。まず、宮島達男さんなど日本人数人が所属するEntwistle(エントウィッスル)では、グラフィック・デザインの大御所、横尾忠則さんの個展「Selected
Posters」展が開催中。60年代から現在に至るまでの作品45点を集めた英国では初の本格的な企画になっています(1月31日まで)。そのお向かいのGallery
27では、日本画を専門とするYukoh Moritaさんの個展が開かれいます(今月20日まで)。Entwistle | |||||||||||||
| 12月11日 | |||||||||||||
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トラファルガー広場の「四番目の台座」を賭けてのレースがスタートしました。サラ・ルーカスやマーク・クイーンら候補者6名の作品(模型)が本日よりナショナル・ギャラリーで公開され、一般からの投票を集めます。発表は新年明けとのこと。台座と候補者については7月28日付けの日誌で。
候補作品の写真はBBCのサイトで。
■ 期待を裏切ることにかけては天下一品のターナー賞。そんな裏切りに「してやられたか」と感じてしまったのが、今週の『Time Out』誌。彼らが受賞すると思ってお願いしたわけじゃないけど・・・と誌面には書かれているものの、表紙に載ったチャプマン兄弟のクリスマス風ゴヤが妙に目立つ。取っていれば完璧だったんでしょうが・・・。まあ裏はどうであれ、ファンには見逃せないものでしょう。Time Outのサイトへ。 ■ 「正式」なポートレートを描いてもらうのが、英国の首相に代々に伝わる慣わし。つまり言い方を換えれば、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(NPG)が選んだ作家の表現の対象になってきたわけですが、今回、その作家が拒否されるという事態が発生。 ■ 7日付けで紹介した『Pocko Edition』のサイン会が明日、テート・モダン内のギャラリーショップで開かれます。先日紹介したJeroen
Teunenのほか、最近メモ帳の表紙でもよく見かけるDaisy de Villenueve、「Minus One」のキュレーターの伊東篤英さんなど8名が出席する予定。クリスマスプレゼント選びに頭を悩ませている方、サイン入りのアート・ブックなんてどうですか? | |||||||||||||
| 12月7日 | |||||||||||||
ペリー氏の代表作は、漫画風の絵や写真を施した「壷」。養父との不和で惨めな幼年期を過ごした彼の作品の中心を占めるのは子供で、これらの「壷」には大人からの暴力や性的虐待を受ける幼児、兵士として借り出される少年少女がしばしば登場します。近年では「壷」からパフォーマンスや写真へと活動の幅を広げ、これらの作品では性を転換したオールターエゴ「クレア」となって氏自らが登場しています。 今年の受賞式のプレゼンターは、ビートルズのアルバム「サージェントペッパー」のデザインで知られる英国を代表する画家ピーター・ブレークで、館長のニコラス・セロータが「もし1961年にターナー賞があったならば選ばれていた人」とブレークを紹介。「最近タクシーにのるたびに、ドライバーにトレイシー・エミンのベッドのことをアートだって説明しているんです」と挨拶した、ブレーク氏の心の広さを感じさせる言葉が印象的でした。詳細はテートのサイトで。(トコ) | |||||||||||||
| 12月7日 | |||||||||||||
■ Santa's Ghettoと目と鼻の先のカーナビー・ストリートでは、ノッティング・ヒルに本店を構えるファッション・ブランドグリフィン(Griffin)がインスタレーションを展開。ホワイトキューブと化した店のなかは、真っ白い紙で作った木やら枝やら得たいの知れない物体でいっぱい。これがグリフィンのジャケットやパンツを着ているから一層シュール。インスタレーションを担当したのはデザイナーのEl Ultimo Gritoさんとのこと。これこそまさに『アート・ミーツ・ファッション』です。展示はノッティング・ヒル本店でも行っているそう。今月24日まで。サイトへ。
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| 12月5日 | |||||||||||||
| 2日付けの日誌に書いた「サーチvsハースト」について調べていたところ、BBCの報道とは若干違う視点で書かれた記事を見つけた。 イブニング・スタンダード紙が11月26日付で発表した内容によると、今回の取引は「作家[ハースト]がコレクター[サーチ]の所有する作品の大部分を買い戻した」ものとのこと。詳しくはThe Evening Standardのサイトで | |||||||||||||
| 12月2日 | サーチがハーストを大量放出 |
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| 「アーティスト、デミアン・ハースト」の生みの親、チャールズ・サーチ氏がハーストの作品を売り戻した、というニュースをキャッチしました。(情報提供者は画家のアツさん。「Minus One」のキュレーターでもあります。詳しくは11/29日「今週のログ」を見て下さい) さっそくBBCのサイトで調べてみたところ、全部で12点の作品がホワイトキューブに売り戻されたということ。サーチ・ギャラリーの目玉である「鮫」「羊」「蝶」「蠅」「Hymn」などはまだキープされているらしいが、夏の回顧展で披露された作品の多くが「ダンプ」されたようだ。 サーチ側は今回の決定についてノーコメントの姿勢を取っているが、しかしこれによって、4月頃から噂されていた両者間の「亀裂」が事実だったことが明らかになった。 この「亀裂」の引き金については、「サーチ・ギャラリーでの回顧展のときの展示にある」と、業界内ではもっぱらの噂だ。ギャラリー側に求められて提出したハーストの展示案がまったく無視されたとまで囁かれている。 サーチ氏は作品を「買う」だけでなく「手放す」コレクターとしても知られている。今回のように大量放出することも珍しくなく、それによって影響を受けた作家やギャラリストも少なくない。もっとも有名なのが画家のサンドロ・キアのケースで、手放されたあとメディアやギャラリストから完全にそっぽを向かれたという本人の体験談を読んだことがある。 ギャラリストの例では、グレイソン・ペリーを去年まで抱えていたローラン・ディレイ氏が記憶に新しい。サーチから出されたペリーの作品の買取依頼を氏が拒否したため、ペリーが憤慨し氏の元を離反。氏は看板作家を失ったため業務の縮小化を余儀なくされたと報じられている(Art Newspaper)。未だにサーチのお気に入りであるペリーの方は無傷だったようで、現在はヴィクトリア・ミロ・ギャラリーに所属し、今年のターナー賞にノミネートされている。 ハーストの場合も新しいパトロンが既にいるくらいだから傷はそう深くはなさそうだ(少なくとも報道からはそのように感じられる)。この「ミスター・キム」なる新しいパトロンは、ソウルにデパートおよびレストランチェーンを持つ実業家だそうだ。デパートに隣接する氏のギャラリーでは既に「Hymn」が展示され、9月にホワイト・キューブで公開された「Charity」も彼が購入済みと言われている。しかし、このキム氏がサーチ氏ばりの仕掛け人かどうかは疑わしいところだ。(トコ) 詳しくはBBCのサイトで | |||||||||||||
| 12月1日 | チャプマンの「自称」共同制作者、刑務所へ |
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| ターナー賞授賞式を週末に控えメディアの目が二人に集中するなか、彼ら絡みでまたひとつニュースが。しかも、今回は守られたギャラリー空間を飛び越えて、法廷さらには有罪判決という現実世界へ。 英国の新聞デイリー・テレグラフ紙によると、美術家ジェイク・チャプマン氏と彼の作品に絵の具を投げつけた「コメディー・テロリスト」のアーロン・バーシャック(Aaron Barschak)さんに先週、28日間の禁固刑が下された。 この事件が起きたのは今年の5月30日、チャプマン兄弟の個展が開かれていたオックスフォード近代美術館でのトークの最中。「Viva Goya!」と叫びながら、バーシャックさんがチャプマン氏めがけて赤い絵の具を投げつけたと報じられている。 アーロン・バーシャックと言えば、ここ英国では6月にウィンザー城で開かれたウィリアム王子の誕生パーティーに警備の目を盗んで侵入したお騒がせ者として知られている。ウサマ・ビン・ラディンの格好をしていたこともあって、こちらのメディアに大きく取り上げられた。 今回の行為については、「自分のアートを作ったつもりでいる」と警察に供述している。さらに、チャプマンと「コラボレート」したつもりだ、ターナー賞にこの出来事の写真を出品したかった、とも語っている。 オックスフォード治安判事裁判所の判事はこれに対し、彼の行為は「美術制作ではなく、大混乱を作り上げただけ」との見解を表明。 一部の報道によると、彼には10月30日付けで有罪判決と300ポンドの罰金の支払いが命じられていたらしい。今回の禁固刑は罰金を払うだけの収入がないとみなされての判断のようだ。(トコ) 詳しくはDaily Telegraphのサイトで | |||||||||||||
| 12月1日 | アートを使った「ねずみ講」 |
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| 絵画やリミテッドエディションプリントを使ったマルチ商法が増加しているらしい。29日付けのザ・ガーディアン紙によると、この傾向を懸念し英国通産省が先週、贋作やアートのオーバープライスを浮き彫りにする対策案を発表したとのこと。 「アートの魅力」に着目したこのマルチ商法は同紙によると「Planline」と呼ばれ、投資額が年間で七倍に増えると約束されている。一般的に、投資家がインターネット上でリミテッドエディションプリントや写真、立体を購入するパターンが取られているようで、タックス・ヘイヴンとして知られるケイマン諸島にあるオフショア法人のオンラインサイト「インフォーカス・ギャラリー」が一例として取り上げられている。(トコ) 詳しくはThe Guardianのサイトで | |||||||||||||